伊藤野枝 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
A 『君此の頃ね僕の家では兄さんとお父さんが一生懸命に議員選挙のことに就いてばかり話をしてゐるよ、僕はよく知らないけれども××さんと○○さんはどつちがいゝのだい』B 『僕もよくは知らないけれど僕の父さんの話だと××さんの方がいゝのださうだ。 ○○さんは随分もう金をつかつたつて話だよ、それにくらべると××さんはえらいね、お金なんかそんなに使はずに運動するんだとさ』 A 『君、お金つて――そんなに選挙にはお金がかゝるのかい』B 『あゝさうさ、君は知らないのかい。だから議員にはお金のある人でなくてはなれないのだ』A 『だつて変だねえ、誰でもなれるんぢやないのかい。僕はまたお金のない人でも選挙されさいすれば議員になれるんだと思つたよ。何時か僕の聞いた話とはずつと違ふんだねえ』B 『どう云ふ風に違ふんだい』A 『君は何故議員をえらぶんだか知らないのかい』B 『知つてるよ、いろんな会議をするのに皆さう大ぜい出られないから総代をえらぶんだらう、それが議員さ』A 『あゝさうさ、だから皆のすきな人がなるんだらう、丁度僕等が級長だの委員だのを選挙するのと同じだつて何時か先生が云つたぜ、だけど何にそんなにお

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