今村明恒 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
日本は地震國であり、又地震學の開け始めた國である。これは誤りのない事實であるけれども、もし日本は世界中で地震學が最も進んだ國であるなどといふならば、それは聊かうぬぼれの感がある。實際地震學の或方面では、日本の研究が最も進んでゐる點もあるけれども、其他の方面に於ては必ずしもさうでない。其故著者等は地震學を以て世界に誇らうなどとは思つてゐないのみならず、此頃のように、わが國民が繰返し地震に征服せられてみると、寧ろ恥かしいような氣持ちもする。即ち大正十二年の關東大地震に於ては十萬の生命と五十五億圓の財産とを失ひ、二年後但馬の國のけちな地震の爲、四百の人命と三千萬圓の財産とを損し、又二年後の丹後地震によつて三千の死者と一億圓の財産損失とを生じた。そして此等の損失の殆んど全部は地震後の火災に由るものであつて、被害民の努力次第によつては大部分免れ得られるべき損失であつた。然るに事實はさうでなく、あのような悲慘な結果の續發となつたのであるが、これを遠く海外から眺めてみると、日本は恐ろしい地震國である。地震の度毎に大火災を起す國である。外國人は命懸けでないと旅行の出來ない國である。國民はあゝ度々地震火
今村明恒
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