大隈重信 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
支那人は優れた古い文明をもっている。またその国は優大なる天才の生れた国で、彼等は古来優大なる思想を遺したので、支那民国も今日存する訳だから、支那民族も国家的生活を必要としないはずがない。しかし、これが境遇の如何によって、また永い時代の悪政によって如何にも変化する。支那人は何としても国家的に団結して、共同の利益のために、いわゆる政治的に国家的に己を捨て、国に尽すという精神が一番欠乏している。今日の世界に於ては結合の固いものが一層優勢であるし、これに反して、結合の弱いものが劣等の地位におち込む。それで支那人の個人性は発達しているが、これに伴う弊はまた決して尠なからず。まずその卑近なる快楽主義と、大それたる利己一天張りに陥るというが如きは見逃すべからざる弊だ。支那の官人には奉公の赤誠が尠ない。彼等はただ単に自己一身の栄誉聞達を欲している。元来儒教の精神はかくの如き積弊を矯むる事に心を尽くしたのであるが、その精神もついに未だ実現されずにいる。そういう弊が段々多くなって、ついに古来の優大なる思想から出来た儒教本来の精神はとられずに、ただ単に文学的に解釈さるるようになった。これを実際に行わないで、

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