大隈重信 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
世人は歴史について、ややするとかかる誤想を懐きはすまいか。歴史は過去の出来事を記述したり考証したり、つまり死んだ事件を取調べる検査官のようなものであると。しかし我輩は歴史学に対してかかる要求はせぬのである。歴史学という一の科学の一要素として、過去の事実を可成的冷静に考証したり、取調べるということも必要であるに相違ないが、但しそれは歴史の研究の全体ではない。頭脳の大なる人、乃至活学者には歴史上の事実は単に死んだものとしては表われて来ない。その人々の目には古い一見現代となんらの関係もない事件であっても、しかし事実が盛んに活動して生命を持つものとして表われて来る。この点に於て我輩は文明史を学ぶことを好むものである。

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