大町桂月 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
三里塚の櫻 大町桂月 夜光命の手には四合入の瓢箪、裸男の手には三合入の瓢箪、誰の目にも其れと知らるゝ花見と洒落たり。 大塚驛より日暮里驛までは電車、日暮里驛にて水戸行の汽車を待合はす。同じく電車を出でて、同じく待合はす一人の囚人、看守に引かれて、プラツトホームの一方に孤立す。誰も之に近づくを避く。中には、『泥棒々々』とさゝやく者もあり。夜光命は先年電車事件の際、東京市民の爲に起ち、兇徒嘯集罪に問はれて、獄に下されしことありける身也。この語を聞きつけて、『世人は囚人を見れば、直ちに泥棒なりと思ふこそ情けなけれ』とて、同情に堪へざるさま也。なほ語を次ぎて、『巣鴨監獄より小菅監獄に移さるゝものなるべし』と云ひしが、果して北千住驛に下りぬ。小菅監獄を右方數町の外に見る。これ夜光命が二年半の歳月を過ごしたる處とて、感慨無量なるべし。見えずなるまで目送す。 我孫子驛にて、佐原行の汽車に乘換ふると共に、辨當を買ひ、瓢酒を飮みながら、之を食ふ。我孫子の『あびこ』を始めとし、木下の『きおろし』、安食の『あじき』、松崎の『まんざき』など、この佐原線には、難訓の驛名少なからず。湖北とて、支那めきたる驛名もあ

翻訳状況
待機中ログイン後に翻訳をリクエストできます。
よくある質問
Yes — completely free. This book is in the public domain, so Pagera offers the full text without payment or account requirement. Pagera is funded by advertising.
無料でご利用いただけます
会員登録なしですぐに読み始められます。さらに多くの書籍と機能は無料会員登録後にご利用いただけます。