丘浅次郎 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
何事に限らず未来を説くのは決して容易ではない。昔から「一寸先は暗」と云ふ通り、次の瞬間に如何なることが起るかは、前以て知ることの出来ぬが常である。多少学術上の根拠を有する天気予報でさへ当らぬことが多い故、世間からは当るも八卦、当らぬも八卦と同様に見做されて居る。されば今日の所では未来の予言は到底普通の人間には出来ぬことで、若し之を為し得る者があつたならば、其者は必ず人間以上の所謂予言者の類でなければならぬ如くに思はれて居る。 然しながら、未来のこととても、総べてが全く予言の出来ぬもののみとは限らぬ。来年の暦に何月何日には日蝕が有つて、何時何分何秒に始まつて、何時何分何秒に終ると明記してあるが、それが必ず確に当る。今年現はれるハレー彗星なども幾十年も前から既に今年現はれるべきことが天文学者には知れてあつて、今後また何十何年目に再び現れ出ると云ふ事までが明かに解つて居る。他の方面に於て予言が総べて不可能なる如くに見ゆるに反し、天体に関してのみ斯く正確に予言の出来るのは何故であるかと云ふに、之は決して特別な秘密がある訳ではなく、たゞ既往に於ける天体の運動を正確に測定し、其の運動を支配する法則

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