小川未明 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
青い、美しい空の下に、黒い煙の上がる、煙突の幾本か立った工場がありました。その工場の中では、飴チョコを製造していました。 製造された飴チョコは、小さな箱の中に入れられて、方々の町や、村や、また都会に向かって送られるのでありました。 ある日、車の上に、たくさんの飴チョコの箱が積まれました。それは、工場から、長いうねうねとした道を揺られて、停車場へと運ばれ、そこからまた遠い、田舎の方へと送られるのでありました。 飴チョコの箱には、かわいらしい天使が描いてありました。この天使の運命は、ほんとうにいろいろでありました。あるものは、くずかごの中へ、ほかの紙くずなどといっしょに、破って捨てられました。また、あるものは、ストーブの火の中に投げ入れられました。またあるものは、泥濘の道の上に捨てられました。なんといっても子供らは、箱の中に入っている、飴チョコさえ食べればいいのです。そして、もう、空き箱などに用事がなかったからであります。こうして、泥濘の中に捨てられた天使は、やがて、その上を重い荷車の轍で轢かれるのでした。 天使でありますから、たとえ破られても、焼かれても、また轢かれても、血の出るわけでは
小川未明
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