小川未明 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
それは、寒い日でありました。指のさきも、鼻の頭も、赤くなるような寒い日でありました。吉雄は、いつものように、朝早くから起きました。 「お母さん、寒い日ですね。」と、ごあいさつをして震えていました。 「火鉢に、火がとってあるから、おあたんなさい。」と、お母さんは、もう、朝のご飯の支度をしながらいわれました。 吉雄は、火鉢の前にいって、すわって手を暖めました。家の外には、風が吹いていました。そして雪の上は凍っていました。 「いま、熱いお汁でご飯を食べると、体があたたかくなりますよ。」と、お母さんは、いわれました。 そのうちに、ご飯になって、吉雄は、お膳に向かい、あたたかなご飯とお汁で、朝飯を食べたのであります。 「番茶がよく出たから、熱いお茶を飲んでいらっしゃい。体が、あたたかになるから。」と、お母さんは、吉雄の、ご飯が終わるころにいわれました。 吉雄は、お母さんのいわれたように、いたしました。すると、ちょうど、汽車の汽罐車に石炭をいれたように、体じゅうがあたたまって、急に元気が出てきたのであります。 吉雄は、学校へゆく前には、かならず、かわいがって飼っておいたやまがらに、餌をやり、水をや
小川未明
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