小川未明 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
あるところに、だれといって頼るところのない、一人の少年がありました。 少年は、病気にかかって、いまは働くこともできなかったのであります。 「これからさき、自分はどうしたらいいだろう。」と考えても、いい思案の浮かぶはずもなかったのです。 いっそ死んでしまおうかしらんと考えながら、彼は、下を向いてとぼとぼと歩いてきました。いろいろな人たちが、その道の上をば歩いていましたけれど、少年の目には、その人たちに心をとめてみる余裕もなかったのであります。 やはり、下を向いて歩いていますと、前を歩いているものが、なにか道に落としました。少年は、はっと思って顔を上げますと、先にゆくのはおばあさんでありました。おばあさんは、自分がなにか落としたのも気づかずに、つえをついてゆきかかりましたから、少年は、うしろから、おばあさんを呼び止めました、 「おばあさん、なにか落ちましたよ。」と、彼がいいますと、おばあさんは、はじめて気がついて、振り向きました。そして、道の上に、自分の落としたものを見て、びっくりして、 「まあ、ありがとうございます。よく知らしてくださいました。これは、私の大事なものです。」と、拾い上げて
小川未明
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