小川未明 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
ある日、兄弟は、村のはずれを流れている川にいって、たくさんほたるを捕らえてきました。晩になって、かごに霧を吹いてやると、それはそれはよく光ったのであります。 いずれも小さな、黒い体をして、二つの赤い点が頭についていました。 「兄さん、よく光るね。」と、弟が、かごをのぞきながらいいますと、 「ああ、これがいちばんよく光るよ。」と、兄はかごの中で動いている、よく光るほたるを指さしながらいいました。 「兄さん、牛ぼたるなんだろう?」 「牛ぼたるかしらん。」 二人は、そういって、目をみはっていました。牛ぼたるというのは、一種の大きなほたるでありました。それは、空に輝く、大きな青光りのする星を連想させるのであります。 その翌日でありました。 「晩になったら、また、川へいって、牛ぼたるを捕ってこようね。」と、兄弟はいいました。 そのとき、二人の目には、水の清らかな、草の葉先がぬれて光る、しんとした、涼しい風の吹く川面の景色がありありとうかんだのであります。 ちょうど昼ごろでありました。弟が、外から、だれか友だちに、「海ぼたる」だといって、一匹の大きなほたるをもらってきました。 「兄さん、海ぼたると
小川未明
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