小川未明 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
この世界が造られましたときに、三人の美しい天使がありました。いちばん上の姉さんは、やさしい、さびしい口数の少ない方で、そのつぎの妹は、まことに麗しい、目の大きいぱっちりとした方で、末の弟は快活な正直な少年でありました。 みんなは、それぞれこの世界が造られるはじめてのことでありますので、なにかに姿を変えなければなりませんでした。 「よく考えて、自分のなりたいと思うものになるがいい。けれど、一度姿を変えてしまったなら、永久に、ふたたびもとのような天使にはなれないのだから、よく考えてなるがいい。」と、神さまは申されました。 三人の姉と妹と弟は、それぞれ、なにになったらいいだろうと考えました。姿を変えてしまえば、もういままでのように、三人は仲よくいっしょにいて話をすることもできなければ、また、顔を見ることもできないと思います。三人は、それが悲しくてなりませんでした。 気の弱い妹は、目にいっぱい涙をためてうつむいていました。すると、気高い、さびしい姉は、やさしく妹をなぐさめて、 「たとえ、遠く離れることがあっても、わたしたちは、毎晩顔を見合うことができれば、それで満足するであろう。」といいました
小川未明
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