小川未明 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
子どもは、つくえにむかって、勉強をしていました。秋のうすぐらい日でした。柱時計は、カッタ、コット、カッタ、コットと、たゆまず時をきざんでいましたが、聞きなれているので、かくべつ耳につきません。それより、高まどの、やぶれしょうじが、風のふくたびに、かなしそうな歌をうたうので、子どもは、じっと耳をすますのでした。 風はときには、沖をとおる汽船の笛とも、調子を合わせたし、また、空に上がるたこのうなりとも、調子を合わせました。 子どもは、これを聞いて、よろこんだり、うれしがったり、もの思いにふけったりして、勉強をわすれることがありました。 子どもには、さまざまな、風の歌が、わかるのでした。

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