小川未明 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
あるところに、人のよいおばあさんが住んでいました。このおばあさんはいろいろな話を知っていました。怖ろしいような話も、不思議な話も、またおかしいような話なども知っていました。この話は、やはりそのおばあさんが聞かせてくれたのであります。 昔、昔、あるところに、仲のいい姉と妹とがありました。姉はよく妹をかわいがり、妹はまたよく姉を慕いました。 姉は、気質のきわめてやさしい人柄でありまして、すぐに涙ぐむというほうでありましたけれど、あまり顔が美しくありませんでした。妹のほうは、やはり、やさしいにはやさしかったけれど、姉にくらべると、快活なほうでありました。そして、目は鈴を張ったように美しく、唇の色はとこなつの花のように紅く、髪は黒く長く肩へ垂れて、まれに見るような美しさでありました。 二人は、だんだん年をとるにつれて、河辺を歩いているときも、水に映った自分の姿に気をとめてながめるようになりました。 ある日のこと、二人は、小川にそうて散歩をしていました。川の辺には、白い花や、桃色の花が咲いていました。そのとき、姉は水に映った自分の姿をながめて、顔を赤くしながら、 「なんというおまえは、美しくこの
小川未明
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