小川未明 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
いまごろ、みんなは、たのしく話をしながら、先生につれられて、知らない道を歩いているだろうと思うと、勇吉は自分から進んで、いきたくないと、こんどの遠足にくわわらなかったことが、なんとなく残念なような気がしました。 しかし、家のようすがわかっているので、このうえ、父や母に、心配をかけたくなかったのでした。 「おまえがいきたいなら、お父さんは、なんとでもして、つごうをつけてやるから。」と、父はいいました。けれど、彼は、頭を強く横にふりました。 そのとき、これを見た母は、なんと感じたか、目に涙をためていました。 緑色の大空を、二羽のつばめが、気ままにとびまわっていました。それを見ていた勇吉は、 「ぼく、つばめになりたいなあ。そうしたら、すぐ、みんなのところへ、いけるのになあ。」と、ひとりごとをしました。 たちまち、目に、工場や、製造場のある、にぎやかな町が見え、また船の出たり、入ったりする港がうかんできて、見るもの、聞くもの、すべてこれまで、知らなかったことばかりでした。ちょうど、みんなは、大きな工場を見学して、いま、その門から出たところで、先生のお話を聞きながら、港のほうへ、歩いていたのでし
小川未明
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