小川未明 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
私は、学校にいるとき、いまごろ、お母さんは、なにをなさっていらっしゃるだろうか、またおばあさんは、どうしておいでになるだろうか、と考えます。すると、おうちのようすが、ありありと、目にうつります。 「ああ、お母さんは、おせんたくをなさって、もう、おわったころだ。」 「いまごろ、おばあさんは、いつもの場所にすわって、眼鏡をかけ、お仕事をなさっているだろう。」と、思いました。 早くおうちへ帰りたいと思っていたので、学校のおわったときは、ほんとうにうれしかったのです。帰りは、たいてい、お友だちといっしょでした。 町を出はずれたところに、お寺がありました。そのお寺の裏は、大きな暗い森になっていました。そこを過ぎると、もうあちらに、私たちの村が見えます。そして、まっききに目にはいるのは、白壁のうちです。 「ああ、なつかしい白壁……。」 そのおうちが、私の生まれた家です。どこへいった帰りでも、この白壁が目にはいると、私は、もうおうちへ帰ったような気がしました。 「また、あとで遊ぼうね。」 おたがいが別れるとき、こういいました。道が、そこから二すじになっていました。 私は、小道をいきました。道の両がわ
小川未明
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