小川未明 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
一匹のねずみが、おとしにかかりました。夜中ごろ天井から降りて、勝手もとへ食べ物をあさりにいく途中、戸だなのそばに置かれた、おとしにかかったのです。空腹のねずみは、あぶらげの香ばしいにおいをかいで、我慢がしきれなかったものでした。ねずみは、そのせまい金網の中で、夜じゅう出口をさがしながら、あばれていました。夜が明けると、ねまきを着た、この家の主人が、奥からあらわれました。 「大きいねずみだな。こいつだ、このあいだから、そこらをガリガリかじったのは。」 主人は、しばらく立って見ていました。 「どうしてくれようか。」 ものぐさな主人は、自分の手で殺さずに、ねこに捕らえさせることを考えました。それで、ねずみの入ったおとしを下げて、外へ出ました。 寒い朝で、路の上は白く乾いていました。前側の商店の小僧さんが、往来をはいていました。 「大きいやつが、かかりましたね。」と、ほうきを持つ手を休めて、ながめていました。 「ねこは、どうしました。」 「ねこですか? さあ、どこへいったか見えませんよ。」 「こいつをどうしようかな。」 「水の中へお入れなさい。」 「水の中へか。」 主人は考えこんでいました。バ
小川未明
翻訳状況
待機中ログイン後に翻訳をリクエストできます。
よくある質問
Yes — completely free. This book is in the public domain, so Pagera offers the full text without payment or account requirement. Pagera is funded by advertising.
無料でご利用いただけます
会員登録なしですぐに読み始められます。さらに多くの書籍と機能は無料会員登録後にご利用いただけます。