小川未明 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
はちは、人間の邪魔にならぬところに、また、あんまり子供たちから気づかれないようなところに、巣をつくりはじめました。 仲間たちといっしょに、朝は早く、まだ太陽の上らないうちから、晩方はまたおそく、まったく日の沈んでしまうころまで、せっせと働いたのであります。 彼らが、こうして働いているときに、この世の中では、いろいろなおもしろいことや、またおもしろくないことなどが起こっても、けっして、それに目もとまらなければ、また心のひかれるようなことがなかったほど、いっしょうけんめいであったのでした。 ひまなとんぼが遊んでいたり、おしゃべりなせみが鳴いていたりする間に、はちはせっせと働いていました。 一ぴきのはちは、巣を離れて、外へいっていて、すこし暇がとれたのでした。 「ああおそくなった。早く帰っておてつだいをしなければならぬ。」と思って、急いで、青い空の下を、自分たちの巣の方に向かって、一直線に走ってきました。 すると、どうでしょう。留守の間にたいへんなことが起こりました。せっかく、幾日となく、日も夜も精を出して、やっと半分も造った巣は、たたき落とされてめちゃめちゃに砕かれ、そのうえに、仲間までが
小川未明
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