小川未明 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
母ちょうは子ちょうにむかって、 「日が山に入りかけたら、お家へ帰ってこなければいけません。」とおしえました。 子ちょうは、あちらの花畑へとんでいきました。赤い花や青い花や、白い、いい香いのする花がたくさん咲いていました。 「これはみごとだ、うれしいな。」といって、花から花へとびまわって、おいしいみつをすっていました。そのうちに日が山へはいりかけました。けれど、子ちょうは、むちゅうになって花をとびまわっていました。 「やあ、暗くなった。」と、子ちょうはあたまをあげますと、これはまたどうしたことでしょう。あちらにも、こちらにも、うつくしい水のたれそうなみどり色の花や、青い花が咲いていました。 「なんの花かしらん。いってみてから、お家へかえりましょう。」と、子ちょうはとんでいきました。きれいな花に見えたのは、でんとうのあかりでした。外へ出ようとすると、ガラス戸につきあたりました。 「やあ、しまった。」と、子ちょうは気をもみました。 「きれいなちょうちょうだなあ。」 「まあ、きれいなちょうだこと。」 そのとき、こういう子供たちのこえがきこえました。 「僕つかまえて、ピンでとめておこうかな。」
小川未明
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