小川未明 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
正ちゃんの、飼っている黒犬が、このごろから他家の鶏を捕ったり、うきぎを捕ったりして、みんなから悪まれていました。こんどやってきたら、鉄砲で打ち殺してしまうといっている人もあるくらいです。けれど、正ちゃんは黒犬をかわいがっていました。 「クロや、もう僕といっしょでなければ、出さないよ。ひどいめにあうからね。」と、いってきかせました。 クロは、尾を振って、正ちゃんの体に頭をすりつけて、クン、クンと喜んで鳴いていました。 「わかれば、もういいのだよ。僕は、おまえをかわいがってやるから。」と、いって、クロの頭を抱えて、その顔に自分のほおをつけていました。 しかし、お父さんや、お母さんは、クロを捨ててしまうといっていられました。そして、相談をなさっていられたのです。 「なにか、正二のほしいものを買ってやれば、いうことをきくかもしれない。」と、お父さんは、おっしゃいました。 「さあ、どうでしょうか。二輪車をほしいといっていましたから、犬を捨てたら、買ってやるといってみましょうか。」と、お母さんは、お答えなさいました。 「ああ、それがいい、きいてみてごらん。」と、お父さんが、いわれました。 お母さん
小川未明
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