小川未明 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
僕はまいにち、隣の信ちゃんと、学校へいきます。僕は、時計屋の前を通って、大きな時計を見るのがすきです。その時計は、時刻が正確でした。 また、果物屋の前で、いろいろの果物を見るのもすきです。どれも美しい色をして、いいにおいがしそうでした。 僕は、肉屋の前を通るのがきらいでした。だから、なるたけ、店の方を向かないようにして通りました。人間のため働いた牛や馬を食べるのは、かわいそうなことのように思います。 もう一つ、こまることがありました。魚屋の前に、いつも、赤い、強そうな犬がいることです。 この犬は、よく人にほえました。また、自転車に乗った人を追いかけました。だから、いつ、自分にも、ほえつくかもしれないからです。 「犬なんか、こわくないよ。」と、信ちゃんはいいました。 しかし、僕は、ひとりのときは、まわりみちをして、肉屋と魚屋の前を通らないようにしました。 ある日、信ちゃんは、僕に向かって、 「もう明日からは、いっしょに学校へいかれないね。」といいました。 それは、信ちゃんの組が、午後からになったためです。 僕は、悲しくなりました。そうして、二人が魚屋の前にくると、ちょうど、赤犬とよその子
小川未明
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