小川未明 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
たいそう外科的手術を怖ろしがっている、若い婦人がありました。 もし、すこしぐらいの痛さを我慢をして、手術を受けるなら、十分健康を取り返すことができるのを、どうしても、その婦人は、手術を受けることを欲しなかったのです。 季候の変わりめになると、婦人は、青い顔色をしていました。 「あなたほどの若さで、そんな青い顔色をなさっていてはいけません。早く手術をお受けになって、さっぱり病気を治しておしまいなさいまし。」と、知っている人は、いいました。 「なんとおっしゃっても、私は、手術を受けるのが怖ろしいのでございます。」と、婦人は、光るメスを、はさみを考えると、身ぶるいをしました。 「奥さん、T町に有名な先生があります。この方の手術なら、まったく安心して受けられます。けっして二度とやり直しをするようなことはありませんから、ぜひここへいって見ておもらいになったらいかがですか。」と、心から、婦人のことを思って、いってくれたのでした。さすがに、気の弱い婦人であったが、いくらか心が動きはじめました。 「T町のなんというお医者さまでございますか?」と、教えてくれた人に、ききました。 「M病院といえば、その界
小川未明
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