ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ · 日本語
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ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
「畏くも天の下しろしめす皇帝、ピョートル一世陛下の御名代として、余は本癲狂院の査閲を宣す!」 甲高い、耳がびんびんするような大音声で、そんな文句が述べ立てられた。インクの汚点だらけの机に向かって、ぼろぼろの大きな帳簿にその患者の名を書き込んでいた病院の書記は、思わず微笑を浮かべてしまった。だが患者を護送して来た二人の若者は、にこりともしなかった。二昼夜というものまんじりともせずに、この狂人と面と向かい合って汽車に揺られた挙句に、ここまで連れて来たのだから、立っているのもやっとなのである。降りる一つ手前の駅で狂気の発作がひどくなったので、何処やらで狭窄衣を手に入れて、車掌や憲兵に手伝って貰って患者に着せたのだった。そのまま彼をこの町まで運び、いまこの病院に送りとどけたところである。 見るも怖ろしい姿だった。発作の時ずたずたに裂いてしまった鼠色の服のうえから、刳り込みの大きいごわごわのズックの狭窄衣が、ぴっちりと胴体を緊めつけている。長い袖が、両腕をぎゅっと胸の上に十文字に組ませ、背中でくくり上げてある。真っ赤に充血した両眼は大きく見ひらかれ(これで十日のあいだ一睡もしないのだ)、じっと動
ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
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