岸田国士
岸田国士 · 日本語
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岸田国士 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
西洋映画は何故面白いか? 岸田國士 かういふ問題はどういふ範囲の人々に興味があるかわからぬが、本誌「トツプ」の読者は、映画の専門家でないにしても、相当高級映画フアンであらうと思ふし、さうなら、日本映画の優秀作が、西洋の普通の水準にまで達してゐないことを万々気付いてをられる筈であるから僕と一緒にひとつこの問題を考へていただきたい。 今はそんなことを実際に考へてゐる人は少なからうと思ふが、一時は、映画と演劇とを全く別個のもの、本質的に相容れないものとして、批評の標準を映画技術の専門的角度からのみ決定しようとしたことがある。これはむろん、芸術様式の純粋性を擁護し、発展させる立場から、常に何人かによつて続けられなければならない努力であるが、一方、現代日本のやうに、芸術の諸分野がそれぞれ孤立した領域に閉ぢ籠り、相互に望ましい影響を与へ合ふことなく、従つて、民衆の生活の中で、文化表現としての芸術的訓練が最も稀薄な状態に於いては、一芸術を他のそれより区別する運動よりも、一般芸術に共通なもの、民衆の趣味活動の基調をなすものを捉へることの方が、より急務であり、少くともより重大な意義をもつ事実なのである。
岸田国士
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