岸田国士 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
世界的文化の母胎 岸田國士 この度大政翼賛会文化部長就任の交渉を受諾致しました。この部の仕事についてはまだ具体的に研究はしてゐませんが、何れ各方面の方々とお打合せをした上で職務上の責任の範囲を心得たいと思つて居ります。 私は元来政治といふものに余り興味を持たなかつたのでありますが、それは狭い意味における政治でありまして、大政翼賛と言ふ名に於ける広い意味の政治が最も厳粛な形で今新しく国民全体の心をふるひたたしめてゐる時、私もまた国民の一人として、周囲の状勢が命ずる所に赴くことを大きな光栄と感じる次第であります。 文化といふ問題について、之もごく広い意味に私は解釈したいと存じます。今日まで比較的閑却せられてゐたこの種の政策が、国防国家建設の体制の中に取入れられたことを私は決して偶然だとは信じません。国家総動員の一重要資材たる国民の精神力は、文化の健全な基礎の上でなければ旺盛な発揮をみることは出来ないのであります。 元より文化問題を取扱ふ上に於て平時との相違は大いにあります。つまり国防国家の求める文化統制は平時に於ては是とされる一部の傾向を排撃し、抑制しなければなりません。 しかし乍ら一方我
岸田国士
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