北大路魯山人
北大路魯山人 · 日本語
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北大路魯山人 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
たいについて、京都、大阪で、子ども時分から聞きこんでいることは、玄海灘を越してきたたいでなくては美味くないということだ。玄海灘を通過してきたたいには、その骨にイボのような珠みたいなものができていると聞かされた。 私は昭和三年、朝鮮へ古窯跡の探査と、陶器原料の蒐集の目的で渡った。その時季がちょうど五月一日から三十日までであった。行程は朝鮮半島の京城から以東をおよそ全部旅行した。その折、太口面(康津郡)すなわち木浦から少し手前、康津で高麗青磁の窯跡を探って、たくさんの資料を蒐集し、帰途、岩礁の多い海岸に沿って、曲浦渚汀を、順天・馬山・釜山方面へと巡遊した。ところが、これらの地方で、はからずも非常に美味いたいの刺身をふんだんに食わされた。そのたいの刺身は、自分が今までに味わったことのある明石だいよりは、はるかに――とも言えるほど美味しいたいであった。 その後も、到るところで、そのたいを飽かず賞味して、感心させられることしばしばだった。実際、その辺に移住してきている内地人や、地元の人たちだけに食わしておくにはもったいないほどのたいであった。内地では容易に舌にのらないほどの逸品だからである。その
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