北大路魯山人 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
梅にうぐいす 北大路魯山人 ある日……なんでもわたしの話はある日である。何月、何日といわねば気に入らぬひとがあったら、なんでもある日で片付けるわたしの話は気に入らぬかもしれぬが、わたしはつまらんことは一切覚えないことにしている。だからある日である。 ある日のこと、わたしは一人の歌人と話をした。名はいわぬ、というより忘れた。名まで覚えてありがたがるほどの歌人は稀にしかいないものだ。稀にだっていればこんなありがたいことはないが、まあ日本に一人いるか二人いるかくらいなものだろう。 さて歌人だが女のひとである。長身で化粧をしない顔は、いくぶんやせてはいるが、わたしからなにかを聞き出そうとして一生懸命になっているらしい。 「先生、先生はまず材料だとおっしゃいますが、そのお話はよくわかりました。ではその材料の取り合わせでございますが、そのことについてお伺いしとうございます」 わたしは、このひとは歌人だから、歌の話に寄せて説明すればいいだろうと考えた。 そこで、 「あなたは歌を作られるそうだが、どうですか、まあ歌のことから考えてみてください。うぐいすの歌を作ろうと思われたら、いや作りたい時に、うぐい
北大路魯山人
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