北大路魯山人 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
私の独断によると、織部という陶器は、古田織部という茶人の意匠及び発明に始まるものではない。 古田織部より以前に、織部という陶器は産れておったのだ。もっとも、その当時は織部という名称はなかったろうから、なんとか外の名を言っていたのであろう。今日織部と言いならすところの陶器は、利休時代に有名であった古田織部が、やかましく好んだところから、遂に織部という名を成したのであろう。 織部という陶器を説明すると、それは素朴な絵を描いた陶器であって、それに萌黄色の釉が所々に付けられている純日本風のものである。中国にも朝鮮にも前例のないところのものである。そこで、この陶器に古田織部が感心して宣伝につとめたのであろう。 世間では織部の絵は、古田織部が子どもに描かせて、その幼稚な絵を瀬戸物にうつしたのだと言っているが、そんなこともあったかも知れないが、我々が初期織部と思うところの、所謂織部の絵は、その意匠千変万化して実に立派な意匠であると同時に、立派な絵であるとも言える。到底子どもの絵ではなく、概して写生画が多い。網を張ったところに、鳥の飛んでいる絵がある。これはこの陶器の生まれた美濃の山中で網を張って、鵜
北大路魯山人
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