北大路魯山人
北大路魯山人 · 日本語
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北大路魯山人 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
かねて日本を出発する前から、フランスの鴨料理について、やかましく聞かされていた。 それというのも、一方的な西欧礼賛が多く、ほんとうのところは分ったものではないと、私はひそかに考えていた。フランスがどうの、アメリカがどうのと、親切に話してくれる人たちが、日本のこととなると、実はよく知らないのだから、話が初めから狂っている。 日本人にして、日本を知らない連中が向こうへ行くものだから、外国へ行っても日本のことを教えることができない。 これは日本のために大変な損失である。また外国のためにも損失である。 名物と言えば、フジにゲイシャ、奈良では鹿にセンベイをやることしか、自慢し教えないのだから、向こうの人間は日本について知る由もない。いわんや、日本料理など分るわけがないのである。 例えば、ニューヨークのすき焼きが昔から有名であるが、行ってみると、すき焼きでもなんでもない。桶のようにふちの高い鉄なべの中で、菜っ葉を山のように盛り、見るからに不味そうな肉の幾片かを載せ、グチャグチャ煮ている。それを日本通のアメリカ人がよろこんで、家鴨が餌を食うみたいにガボガボ食っている。 主人なる男は新潟在の出身で、ど
北大路魯山人
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