国枝史郎 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
探偵小説の人生は、日常茶碗の人生とは違う。 × 人生に於ける非常事が、探偵小説では茶碗事となる。 × 人生の自然と探偵小説の自然は、似ても似つかないものである。 × 作家に特異性のあることは勿論幸福には相違ない。しかし勝れた探偵小説家は、より一層客観を尊ぶ。 × ポーが現代へ産れた所で社会性の無いという点で、一蹴されても仕方あるまい。 × 階級の精神を代弁する者が現代と将来の大作家である。 × 表現主義は個人主義である。まごまごすると利己主義に堕する。 × 古典主義に反逆して、浪漫主義が新興し、浪漫主義に反逆して、自然主義が新興し、自然主義に反逆して、人道主義が新興し、人道主義に反逆して、プロレタリア芸術が新興した。反逆も伝統を持っている。 × 面白くない読物とは、真実を描かない読物のことだ。 × 人は他人の罪悪の、暴露を喜ぶものである。何んと新聞の社会面が、多くの人に喜ばれることか。では探偵小説家が、社会の罪悪を剔抉した所で、喜ばれない筈が無い。 × 多数読者の嗜好を探り、その嗜好に投じ乍ら、自己の思想を植え付けることは、作家として最も大切では無いか。決して諂うことでは無い。大衆作家
国枝史郎
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