小酒井不木
小酒井不木 · 日本語
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小酒井不木 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
私は幼い時分から探偵小説が好きで、今でも相変わらず読みふけっている。いつ読んでも面白い。ポーや、ドイルや、ガボリオの探偵小説は常に自分の座右に置かれてある。何度繰り返し読んでも面白い。紐育に留学していた時分は週刊の探偵小説雑誌を買って、毎夜床に入ってから夜更けまで読んだ。 ある時ハドソン河を隔てたジャーセー市に殺人事件が起こった。犯人は久しい間検挙されなかった。するとある日の紐育タイムス紙の論説欄に、官憲の手ぬるさを罵った傍ら、ポーの探偵小説「マダム・ロージェの怪事件」が引用してあった。すなわち事件の性質が似ているからである。 この小説は、ポーが費府に新聞記者をしている時、紐育の下町で評判の美人が殺されてハドソン河に捨てられてあった事件を、当時の貧弱な新聞記事を基として、仏国巴里に起こった話として書きあげたものである。 この小説でポーはデュパンという名探偵をして立派に事件の真相を言い当てしめたので、きわめて有名なものである。タイムス紙は、今、ポーが生きていたらあんなに貧乏しないで、名探偵として、摩天閣の一部に立派な事務所を設けたに違いない、なぜ第二のポーが出ないだろうかと結論した。 私
小酒井不木
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