小酒井不木 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
読者諸君は、塚原俊夫君の取り扱った「紅色ダイヤ」事件というのを記憶していてくださるだろうと思います。その事件を紹介する際、私は俊夫君に金持ちの叔父さんのあることを話しておきましたが、最近俊夫君はこの「赤坂の叔父さん」に実験室の一部を建て増してもらい、そこへ水銀石英灯というものを買ってもらって据えつけたのであります。 どうして、俊夫君が水銀石英灯を買ってもらったかと言いますと、先日俊夫君は、ある外国の犯罪学に関する雑誌を読んで、近頃外国では犯罪の探偵に水銀石英灯がさかんに使用されるということを知ったからであります。 そこで、研究好きな俊夫君は、赤坂の叔父さんに頼んだところ、さっそく叔父さんは快諾して実験室を建て増し、器械を買い入れて備えつけてくださったのであります。 かねて俊夫君はレントゲン線の装置がほしいのでしたけれど、あまりに大袈裟になるゆえ我慢していましたが、水銀石英灯は簡単なものですから、とうとう叔父さんにねだったわけです。 さてここで皆さんに水銀石英灯がどんなものかということをお話ししておこうと思います。水銀石英灯というのは一口にいえば、紫外線と称する一種の光線を発生する器械な
小酒井不木
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