太宰治 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
俗天使 太宰治 晩ごはんを食べていて、そのうちに、私は箸と茶碗を持ったまま、ぼんやり動かなくなってしまって、家の者が、どうなさったの、と聞くから、私は、あ、厭きちゃったんだ、ごはんを、たべるのが厭きちゃったんだ、とそう言って、そのことばかりでは無く、ほかにも考えていたことがあって、それゆえ、ごはんもたべたくなくなって、ぼんやりしてしまったのであるが、けれども、それを家の者に言うのは、めんどうくさいので、もうこのまま、ごはんを残すから、いいかね、と言ったら、家の者は、かまいません、と答えた。傍にミケランジェロの「最後の審判」の大きな写真版をひろげて、そればかりを見つめながら箸を動かしていたのであるが、図の中央に王子のような、すこやかな青春のキリストが全裸の姿で、下界の動乱の亡者たちに何かを投げつけるような、おおらかな身振りをしていて、若い小さい処女のままの清楚の母は、その美しく勇敢な全裸の御子に初い初いしく寄り添い、御子への心からの信頼に、うつむいて、ひっそりしずまり、幽かにもの思いつつ在る様が、私の貧しい食事を、とうとう中絶させてしまった。よく見ると、そのようにおおらかな、まるで桃太郎
太宰治
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