種田山頭火 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
赤い壺 種田山頭火 『あきらめ』ということほど言い易くして行い難いことはない。それは自棄ではない、盲従ではない、事物の情理を尽して後に初めて許される『魂のおちつき』である。 私は酒席に於て最も強く自己の矛盾を意識する、自我の分裂、内部の破綻をまざまざと見せつけられる。酔いたいと思う私と酔うまいとする私とが、火と水とが叫ぶように、また神と悪魔とが戦うように、私の腹のどん底で噛み合い押し合い啀み合うている。そして最後には、私の肉は虐げられ私の魂は泣き濡れて、遣瀬ない悪夢に沈んでしまうのである。 私自身は私というものを信ずることが出来ないのに他人が私を信じてくれるとは何という皮肉であろう! 遠い死は恐ろしく近い死は懐かしい。 死を意識して、そして死に対して用意する時ほど、冷静に自己を観照することはない。死が落ちかかれば自己の絶滅であるが、死の近づき来ることによって自己の真実を掴むことが出来る。 悪魔の手は掴もう掴もうとしている。それだけでも悪魔の心は親しいものではないか。 結婚して後悔しないものが何人あるか、親となって後悔しないものが何人あるか。――私も亦、その何人の中の一人であることを悲し
種田山頭火
翻訳状況
待機中ログイン後に翻訳をリクエストできます。
よくある質問
Yes — completely free. This book is in the public domain, so Pagera offers the full text without payment or account requirement. Pagera is funded by advertising.
無料でご利用いただけます
会員登録なしですぐに読み始められます。さらに多くの書籍と機能は無料会員登録後にご利用いただけます。