寺田寅彦 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
KからQまで 寺田寅彦 一 電車停留場のプラットフォームに「安全地帯」と書いた建札が立っている。巌丈な鉄棒の頂上に鉄の円盤を固定したもので、人の手の力くらいでは容易に曲げ動かすことが出来ないように出来ている。それが、どうしたのかひどく折れ曲って変態仮名の※の字のようになっているのがある。トラックでも衝突したかと思われる。鉄棒がこんな目に遭うくらいだから人間にとってはあまり安全な地帯でないのである。従ってこの曲った標柱は天然自然の滑稽であり皮肉である。これをそっくり写真に取れば、立派な、高級な漫画になるであろう。しかし安全も危険も実は相対的の言葉である。安全地帯の危険率も、危険地帯の安全率もゼロではない。 二 ある会社のある工場に新たに就職した若い男が、就職後間もなく誰かから自分の前任者が二人まで夭死をしたこと、その原因がその工場で発生する毒瓦斯のためらしいという話を聞き込んで、ひどく驚きおびえて、少し神経衰弱のような状態になっていると聞いた。しかし前任者が果して瓦斯中毒で死んだかどうかも確実には分からないようである。一体どんな職業でも、丁度自分の前任者が引続いて二人死んだという場合を捜
寺田寅彦
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