戸川秋骨 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
翻訳製造株式会社 戸川秋骨 器械を一とまはしガタリと動かすと幾個かの字が出て来る、また一とまはしガタリと動かすと、また幾個かの字が出て来る、幾度かそれを繰りかへして居ると、沢山の字が集つて来るから、それを並べると、立派な学問が出来上る。これが誰れでも知つて居るガリヴア巡島記で、スヰフトが書いて居るラガトオの大学の記事である。が、これにも増して容易にまた簡単に出来るのものは今日の吾が翻訳である。西洋のある名ある書物を始めて翻訳するのは、可なり骨の折れる仕事であるが、ナニそれでも少し根気よく器械でも動かす積りでやれば、ぢきに出来る。その翻訳が一つ出来上がれば、あとはわけなしで、ラガトオ市の大学で器械を動かすよりも手軽に出来る。凡そどんな翻訳にだつて文句をつけて、つけられないのはないのであるからその一つ、出来上つた翻訳に少し間違でも見つけたら、それを大袈裟に吹聴して、それから大体の他の部分にも筆を入れて、前のより少し下手にすれば、それで沢山なのである。下手と云つて悪ければ、前のよりは解らなくするのである。かういふ風にして拵へて行けば、翻訳なんてものはいくらでも出来る。かういふ風にして翻訳を作
戸川秋骨
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