直木三十五 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
◇少し何うも「文藝家の生活を論ず」は、得意のもので無さすぎる。餘り無さすぎて、私はそれを正すのに大して興味をもたないが、彼の名を信じて、このまゝこれを正義とする人があつたなら、その人は不幸であると思ふから、いかに支離滅裂であるかといふ事だけを手短かに書いてをく。それは救はれそうにもない春夫氏にでは無く――小部分でもあの論に賛成した人に對してゞある。 ◇一は四五人の作家の稿料が高すぎるからもつと減じていゝ、といふのであるが、これに對しては、四五人を減じるよりも、それ以外の人をもつと高くしては何うかといふ論法と、一二種の雜誌の外、こんな稿料は支拂はないから全文こゝから出發しては論に成らないといふ事と、その高い稿料を支拂へる雜誌は支拂つていゝだけ儲けてゐるのだから、四五人の稿料を減じたとて、雜誌屋がその餘剩を四五人以外の人に施さない以上、むしろもつと高くとつて適當に散じた方がいゝで無いか、とでも云へば春夫の論は破れてゐる。「要求しさへすれば二十圓はくれる」といふ、狡るい雜誌屋を對手に、稿料を安くしたつて、誰の利益になるといふのか? ◇二の最初は論にならない。「社會全體に文藝の教養が行屆かない
直木三十五
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