永井荷風 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
麻布襍記収むるところの小説雑録随筆のたぐい皆そのおりおり月刊文学雑誌の嘱を受けて一時の責を塞ぎしものに過ぎず。五とせ以前築地より麻布に移りすみてここに筆をとりしもの多ければかくは名づけたるなり。思えば麻布に移りてよりこの五とせが間には悲しきことの多かりき。厳師森夫子は千朶山房に簀を易えたまい又莫逆の友九穂井上君は飄然として道山に帰りぬ。爾来われは教を請うべき師長もなくまた歓び語るべき伴侶もなし。衰病の孤身うたた寂寞のおもいに堪えやらず文筆の興も従って亦日に日に索然たり。されば復び拙著を刊行する心もあらざりしが春陽書楼の主人震災の後頻に訪来りてすすむるものから遂にこばみがたく拙劣の一集またここに成るを見たり。大正十三年甲子の歳仲夏荷風病客麻布窮巷の陋居にしるす。 ●図書カード
永井荷風
翻訳状況
待機中ログイン後に翻訳をリクエストできます。
よくある質問
Yes — completely free. This book is in the public domain, so Pagera offers the full text without payment or account requirement. Pagera is funded by advertising.
無料でご利用いただけます
会員登録なしですぐに読み始められます。さらに多くの書籍と機能は無料会員登録後にご利用いただけます。