中里介山 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
宇治山田の米友は、あれから毎日のように夢を見ます。その夢は、いつもはんで捺したように不動明王の夢であります。夢や新聞は、毎日変ったものを見せられるところにねうちがあるのだが、米友のように、毎夜毎夜同じ夢ばかりを見せられては、驚かなければなりません。 夢から醒めたたびに米友の驚き呆れた面も、やはりはんで捺したようなものです。米友はついに堪り兼ねて、床の間にかけてあった不動明王の画像を取外しました。この画像があるから、夢を見せられるのである、画像が無ければ、夢も無くなるであろうと思って、その晩は取外して床の間へ捲いておいたけれど、やはり同じように、不動明王の像が夢に現われました。米友は癪にさわってこの画像を、よそへうつしてしまおうと思って、今、かつぎ出したところであります。 今日は例の手槍を持って出ることの代りに、かなり大きな不動尊の画像を担いで、例によって両国橋を渡りかけました。そこで米友が思うには、これを打捨るにしても不動尊である、有難がっても有難がらなくっても、不動明王のお像である。芥溜の中へ打捨るわけにはゆかない。さりとて、道の真中へ抛り出してもおけない。また米友には、屑屋に売り飛

翻訳状況
待機中ログイン後に翻訳をリクエストできます。
よくある質問
Yes — completely free. This book is in the public domain, so Pagera offers the full text without payment or account requirement. Pagera is funded by advertising.
無料でご利用いただけます
会員登録なしですぐに読み始められます。さらに多くの書籍と機能は無料会員登録後にご利用いただけます。