中原中也 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
或る日君は僕を見て嗤ふだらう、 あんまり蒼い顔してゐるとて、 十一月の風に吹かれてゐる、無花果の葉かなんかのやうだ、 棄てられた犬のやうだとて。 まことにそれはそのやうであり、 犬よりもみじめであるかも知れぬのであり 僕自身時折はそのやうに思つて 僕自身悲しんだことかも知れない それなのに君はまた思ひ出すだらう 僕のゐない時、僕のもう地上にゐない日に、 あいつあの時あの道のあの箇所で 蒼い顔して、無花果の葉のやうに風に吹かれて、――冷たい午後だつた―― しよんぼりとして、犬のやうに捨てられてゐたと。
中原中也
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