新渡戸稲造 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
久振で東京へ帰ッて参りまして、安心して休むつもりであッたところが、突然お呼出しになりまして、定めし何にか御馳走でもあるじゃろうと思ッて来たところが、二階の階段で演説をという命令である。台湾から帰ッたばかりで、とても面白い話など出来る次第でもなし、けれども台湾に行ッたからというて、舌を落して来たという訳でもなし、日本語を忘れたという訳でもないからして、絶対的にお話出来ぬというお断りは出来ない。しかしただ今も横井さんの有益なる御深切なお話のあとで、私は何も附加えることはない、殊にあなた方はもう既に保険料をお払済になッたろうと思うのである。私もしばしばこの保険会社の人に押込まれて、何々保険会社から入れと言うて来るかと思うと、直後から他の会社から来る、中々勉強するものである。然るにあなた方に対しては恐らく横井さんが初めての申込であッて、後から来るものは定めしうるさいだろうとお思いになるだろう。故に私は何も保険申込はしないから、それだけは御安心下さい。 また横井さんのお話の後で、ただ今申した通り、加えることはないが、すこぶる御同感の点が多い、多いどころではない悉く御同感である。今日は卒業式とかい
新渡戸稲造
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