樋口一葉 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
反古しらべ 樋口一葉 虫干すとてかびくさき反古どもあまた取出しける中に、故兄が殘したるくさ/″\の筆記あり、ことこまかにしるしとゝめたるさま、これはそれの夏、腦の病ひおこらんとせし前の月こゝろをとゝめて物しつるなり、今かたつかたハ霜こほる冬のよ、毎よさかならず父母が寐間をうかゝひて裾に物をおき、襖のたてつけをあらためし頃ほひ、今宵ハいと寒きに早く寐よかし風もぞ引くと母の仰せつるに、承りぬとて 反古しらべ この頃の日かげに少しかびくさき物ほしてんとて取出しみれバさま/″\の反古どもこそ出來れ、かのえ午一月吉書などかきて分なき筆づかひ耻かしうもなつかしうも覺ゆるもあり、十とせの昔しなるべし 歌よむはじめし頃の詠草くりひらげミれば、かみの末に歌の數こまかにしたゝめて幾年幾月より幾月までの間など書たる、手ハなき父の物せられしなり、何ゆゑとも知らずなつかしうかなしう、詠草を抱きて父樣父樣となきぬ、有つる世にハしかられん事の恐ろしうて、歌ミせまつる事もせざりしを、今はた腰折のえせ歌よみ出るにも少し聞よくなどいはれつるをばやがて物に書て佛の前に供へぬ、道はるかなりとも親ハミ給ふべしや。 父なくならん
樋口一葉
翻訳状況
待機中ログイン後に翻訳をリクエストできます。
よくある質問
Yes — completely free. This book is in the public domain, so Pagera offers the full text without payment or account requirement. Pagera is funded by advertising.
無料でご利用いただけます
会員登録なしですぐに読み始められます。さらに多くの書籍と機能は無料会員登録後にご利用いただけます。