久生十蘭
久生十蘭 · 일본어
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久生十蘭 · 일본어
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원문 (일본어)
馬の尻尾 「はて、いい天気だの」 紙魚くいだらけの古帳面を、部屋いっぱいにとりちらしたなかで、乾割れた、蠅のくそだらけの床柱に凭れ、ふところから手の先だけを出し、馬鹿長い顎の先をつまみながら、のんびりと空を見あげている。 ぼろ畳の上に、もったいないような陽ざしがいっぱいにさしこみ、物干のおしめに陽炎がたっている。 あすは雛の節句で、十軒店や人形町の雛市はさぞたいへんな人出だろうが、本郷弓町の、ここら、めくら長屋では節句だとて一向にかわりもない。 露路奥の浪人ものは、縁へ出て、片襷で傘の下張りにせいを出し、となりの隠居は歯ぬけ謡。井戸端では、摺鉢の蜆ッ貝をゆする音がざくざく。 「……どうやら、今日の昼食も蜆汁になりそうだの。……いくら蜆が春の季題でも、こう、たてつづけではふせぎがつかねえ……ひとつ、また叔父のところへ出かけて、小遣にありついてくべえか。……中洲の四季庵にごぶさたしてから、もう、久しくなる」 と、ぼやきながら、煙管で煙草盆をひきよせ、五匁玉の粉ばかりになったのを雁首ですくいあげて、悠長に煙をふきはじめる。 北番所の例繰方で、奉行の下にいて刑律や判例をしらべる役だが、ろくろく
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久生十蘭
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