平林初之輔
平林初之輔 · 日本語
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平林初之輔 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
探偵小説を広義に解するならば、実社会において比較的稀にしか起こらぬ出来事を取り扱った小説であると言えましょう。同じ恋愛を取り扱っても、普通の程度、普通の径路を辿る恋愛事件を取り扱わないで、程度が病的であるとか径路が数奇を極めているとかでなければ探偵小説とはなりにくいように思われます。 ところで、かような小説は普通の事件や心理状態を取り扱ったものと比べて価値が少ないという議論があるのであります。Everyman's Libray の Poe's Tales of Mystery and Imagination の編者の序文の劈頭に、この問題に関するブリュンチエールの言葉がひいてあります。それによると、そういう小説は病理的あるいは生理的には興味があるかもしれないが社会的には無意味であるというのであります。そういう小説の材料となる偶発事件は人生の大道からとってきたものでなくて、人生の端っこに起こる事件からとってきたものであるというのであります。 私は、文芸の価値は表現にあるというような表現一元論には賛成しませんが、しかし「大道」と「道ばた」とに材料の出所を二分してそれによって「社会的価値」を
平林初之輔
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