深瀬基寛
深瀬基寛 · 日本語
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深瀬基寛 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
昨日は老人の日でした。その今日、停年講義をいたしますことはまんざら無意味でもないと存じます。昨日は老人の日であると同時に勤評ストの日でもありました。それから今日は今日で、私の家の近くまで市電の新線が開通しまして、私の家から大学までの通勤が何十年振りに大へん便利になりましたが、あいにくと明日から私は学校に来なくてもよくなりました。 さて今日の講義ですが、私は何十年となくリーディングを教えて来ましたから、本来ならば英文のテキストを一二枚プリントに刷って来て、それに訳をつけると、それがいちばん正直な講義で、勤評の対象にもして貰えるわけですが、今日は聴講生の人数が未定なのでそれも無理です。実はこの六月遠方の或る大学で講義を頼まれましたので、九月にやらなければならない停年講義の予行演習でよければやりましょうと答えておきましたところ、先方はそれでもよろしいということで引き受けました。むかしの三高時代に私は文科なら二回、理科なら三回、同じ講義を繰り返したものですが、第一回目の方が誤りもあるがフレッシュで熱もあっていちばんよい。二回目になると自分で解っているつもりで説明を飛ばしたりするので時間があまっ
深瀬基寛
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