ボードレールシャルル・ピエール
ボードレールシャルル・ピエール · 日本語
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ボードレールシャルル・ピエール · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
彼は淋しい大きな公園を散歩しながら独言つた、「あの女が襞の一杯ついてゐる贅を尽した宮廷服を着て、美しい黄昏の中を、広い芝生と泉水に向つた宮殿の大理石の石段を降りて来たらどんなに美しいだらう! なぜといつて、あの女は生れつき王女の風があるからな。」 少し経つて或る街を通りかゝつたとき、彼は一軒の版画店の前に立止まつた。そして紙挾の中に熱帯地方の風景の版画を見付けて独言つた、「いや! 私があの女の尊い生命を自分のものにしたいところは宮殿の中などではない。そんなところではくつろいだ気持になれはしない。おまけに、あの金をちりばめた壁はあの女の肖像を懸ける場所ではない。あの業々しい画廊にはしつくりした場所が一つもないのだ。たしかに、私が私の生命の夢を育てようと思ふなら、住むべき処はあそこだ。」 そして、その版画の細部を仔細に検べながら心の中でかう続けた、「海岸には、何といふ名だか忘れてしまつたが、奇妙なつやつやした木に囲まれた、丸木造りのきれいな小屋……空中には、人を酔はすやうな何とも言へない香……小屋の中には、薔薇と麝香のさかんな匂、一寸離れて私たちの小さな屋敷の後ろには、波のうねりで揺れてゐ
ボードレールシャルル・ピエール
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