前田河広一郎
前田河広一郎 · 日本語
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前田河広一郎 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
ニュー・ヨーク 『青春の自画像』より 前田河広一郎 考えると、ずいぶん馬鹿げた服装をしていたものだ。頭には、山高帽という奴をかぶっていたし、口にはチョビ髯、手に贋革の鞄、厚ぼったい灰色の外套を着こんで、片手に例のステッキ。そのころは、まだ流行にならなかった活動のチャップリンにどうやら似通よった姿であった。このほとんどは、シカゴ製のもので、日本から身につけて来たものと云っては何一つない。いわば七ヶ年で、完全に日本から脱皮した自分であった。 外形はそうであったが、内容の方はどうかとなると、これはいささか覚束ない、和製アメリカの混合体である。私の見た日本、私の感じた日本、これを私の英語で書く、という以外には、私の差しあたっての野心はなかった。そのためには、タイプライタアもどうやら片方の手である程度たたけるようになったし、同じ語彙を字引でみつけるにも、シノニュウムと、アントニュウムを気をつけるほどになったし、ものの考え方も英語でするようになったのであるが、自分でほんとに考えてみると、はたしてこれだけで、身内に潜む希望を除けば、何が出来ようと、押えても押えても疑いが湧いて来る。 『赤手空拳ただ一
前田河広一郎
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