牧野信一 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
「暑さ、涼しさの話。」 おや/\、もう夏なのか! 僕は忘れてゐた。――それで、壁の鏡をのぞいて見ると僕の額は玉の汗だ。なるほど僕は薄いシヤツ一枚だ、白いパンツだ。いつ頃僕はこんな身なりに着換へてゐたことか? この机の一輪ざしには桃の花が活けてある。だから僕は、未だ、夏になつてゐるとも思はなかつた、誰が活けたものなのか知らないが、何時にも窓をあけることもなしに、煙草を喫しながら時折眼をそゝいでゐた花だ。 だが、今はじめて、仔細にみると、何だ! これは造り花か! 蜘蛛の巣が張つてゐるではないか、馬鹿々々しい。 棄てゝしまへ! そして窓をあけて見よう。
牧野信一
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