牧野富太郎 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
利尻山とその植物 牧野富太郎 余が北見の国利尻島の利尻山に登ったのは、三十六年の八月である、農学士川上滝弥君が、数年前に数十日の間この山に立籠って、採集せられた結果を『植物学雑誌』に発表せられたのを、読んでから、折があったら自分も一度はこの山に採集に出かけたいと思っていたが、何分にも好機会がないので、思いながら久しく目的を達することが出来なかった、然るに山岳会の会員中で高山植物の採集と培養に熱心な加藤泰秋子爵が、この山の採集を思い立たるるとの話を聞いたので、もし同行が出来れば自分は大変に利益を得られるであろうと信じた所が、子爵もその当時は高山植物に充分の経験を持っておられなかった点もあるので、誰か同行をしてくれる人があればと捜しておられる所であったので、自分の希望は直に子爵の厚意に依て満足せしめられることが出来たのである、しかしその約束の条件として、自分はこの採集の紀行を書くことを引受けたことを第一に白状せねばならぬ、ところが俗にいう、鹿を逐う猟師は山を見ずで、植物の採集に夢中になっていると、山の形やら、途中の有様やら、どうも後から考えて見れば、筆を採って紀行文を作るということが、甚だ
牧野富太郎
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