正宗白鳥 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
今秋ペンクラブの世界的大会が日本で開催されるのである。それについて、私は昔の微々たるペンクラブ発生の頃を思出した。私は島崎藤村逝去後にペンクラブの会長に推薦され、終戦まで一年ばかりその名誉ある地位に身を置いていたのである。私が会長になるなんて可笑しな事なんだが、確かに会長であった。会員中の有力者が会合のたびに会の運転について意見を述べて、私は殆ど盲従していたのに過ぎず、甚だ権威が無かったが、兎に角会長の席に就いていた筈だ。 島崎藤村は、しんねりむっつりであっても、私とちがって貫禄があった。大倉喜七郎が藤村崇拝で、藤村に物資的援助をしていたが、藤村はその与えられた金をそっくりペンクラブに寄附していたので、それだけでも、藤村はクラブで重きをなしていた筈だ。一度藤村は、築地の料亭に大倉を主賓として、当時は珍重されていた白米と鮮魚の料理をペンクラブ会員一同に振舞ったこともあった。藤村はアルゼンチンのペンクラブに日本のクラブの代表として出席したこともあった。それに比べると、私の会長振りは見窄らしくて、有れども無きが如くであった。 しかし、今回顧すると、戦争末期に私が会長であったことは、その所を得
正宗白鳥
翻訳状況
待機中ログイン後に翻訳をリクエストできます。
よくある質問
Yes — completely free. This book is in the public domain, so Pagera offers the full text without payment or account requirement. Pagera is funded by advertising.
無料でご利用いただけます
会員登録なしですぐに読み始められます。さらに多くの書籍と機能は無料会員登録後にご利用いただけます。