マロエクトール・アンリ · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
ジャンチイイの石切り場 わたしたちはやがて人通りの多い往来へ出たが、歩いているあいだ親方はひと言も言わなかった。まもなくあるせまい小路へはいると、かれは往来の捨て石にこしをかけて、たびたび額を手でなで上げた。それは困ったときによくかれのするくせであった。 「いよいよ慈善家の世話になるほうがよさそうだな」とかれは独り言のように言った。「だがさし当たりわたしたちは一銭の金も、一かけのパンもなしに、パリのどぶの中に捨てられている……おまえおなかがすいたろう」とかれはわたしの顔を見上げながらたずねた。 「わたしはけさいただいた小さなパンだけで、あれからなにも食べませんでした」 「かわいそうにおまえは今夜も夕食なしにねることになるのだ。しかもどこへねるあてもないのだ」 「じゃあ、あなたはガロフォリのうちにとまるつもりでしたか」 「わたしはおまえをあそこへとめるつもりだった。それであれが冬じゅうおまえを借りきる代わりに、二十フランぐらいは出そうから、それでわしもしばらくやってゆくつもりだった。けれどあの男があんなふうに子どもらをあつかう様子を見ては、おまえをあそこへは置いて行けなかった」 「ああ、

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